最近、たまにスケッチノートやグラレコのやり方を教えて欲しいと言われることがあるので、普段書くときに考えていることをまとめてみようと思います。
前提:どんなものを書いているか
これまで勉強会ブログはテキストで書いていました。テキストベースだと内容を表現仕切れなかったり、あとでまとめるのが面倒になって下書きを詰んでしまうので、勉強会レポートの代わりとして描くようになりました。色々なセッションの中でも、
- リアルタイムなもの(勉強会や講演のレポート)
- 資料が出回らないもの(トークセッションとか)
- 資料にテキストがなさそうなもの
- 自分が興味があり、前提知識が分かる分野のもの
- 図を描いたほうが分かりやすそうな内容
あたりのものを書いています。流石に知見の少ない専門分野はリアルタイムに書けません...。また、フロントエンドの実装など、コードが重要なものは逆に登壇者の資料やサンプルを見たほうが分かりやすいので、概念的な内容の時に描くことが多いです。
使っている道具
最近スケッチノートをするときには、いつもこのセットを持っていきます。
マルマン スケッチブック クロッキーパッド A4 白クロッキー紙 S262
- 出版社/メーカー: マルマン(maruman)
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アーティストブラシ 単品 ペパーミント(70) 1100-70
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アーティストブラシ 単品 ローズピンク(57) 1100-57
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パイロット サインペン スーパープチ SEG-10F-B 細字 ブラック
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マルマンのクロッキーパッドは、描いた後にピリッと剥がしてスキャンできるのがよくて使ってます。机のない会場で膝の上で描ける&40分セッションを1枚にまとめるのがA4くらいでちょうどいいです。黒ペンが2本(細/中)、色ペンが2本(寒色/暖色)が私の最小構成です。
膝の上で書くことが多いです。基本左手に他の太さのペンを持って右手で書いてるのですが、使わない他のペンはすぐ取れるようにゲストパスのストラップにぶら下げたりしてます。
ラベルシールは間違ったときの修正用です。修正テープだと、ペンの色が乗らなかったり広範囲を消せないのでラベルシールを使ってます。小さなミスなどはちぎって貼ったりしてます。
(最近iPadとApple Pencilを買ったので、使い勝手がよければデジタル移行するかもしれません)
意識していること
これまで書いていた勉強会レポートの代わりが目的なので、「何が話されたか」内容メインのレイアウトを意識しています。会場の中で、大きな紙にリアルタイムに描くようなグラレコだと、もっと表現系に寄せたり、講演者を際立たせる場合もあると思うので、構成は目的によります。
似顔絵は、そのノートを見返すときに「そういえば眼鏡かけたキリッとした人だったな」とその人の特徴を思いだせる最低限に留めるようにしています。凝りはじめると、セッションについていけなくなるので気をつけています...(絵を描くのは好きなのでついお絵かきが楽しくなってしまう)。
あと、「ふきだし」を使いすぎないこと。ふきだしを描くとそれっぽくはなるのですが、ふきだしである意味がない場合もあるので、ユーザーのコメントや、登壇者の感想などに使うようにしています。
セッション中に考えていること
セッションが始まる前には、セッションタイトルだけを書いて準備しています。セッションが始まってからはだいたいこんなことを考えながら書いています。
どんな流れで話が進むのか
プレゼン資料の構成は大体以下のようなものが多いと思うのですが、
- タイトル
- 自己紹介
- 目次
- 導入
- 本編×何個か
- まとめ
- +αの告知など
特に目次の部分をちゃんと聞くようにしています。話したいことが何個あって、どういう構成になっていそうかを確認して、「紙面上のゾーニングは3つくらいか~」 などレイアウトの見立てを立てています。
各情報ブロックの中でのキーワードは何か
本編に入ると、各章に分けていくつか主題となる内容が話されると思うのですが、その際には、
- 資料の中でハイライトされているキーワードはないか
- 資料に書かれていない口頭での重要そうな補足、エピソードはないか
に注目して言葉を拾っています。長い文章で書かれていても、重要なキーワードさえ拾えれば一覧化したときに大体雰囲気がつかめると思っています。また、資料が公開されても口頭で補足されたような情報は、その場でしか聞けない貴重な情報なので重要そうなら拾うようにしています。
情報の関係性
紙面に情報をまとめるときには、話されている情報がタイムライン型の情報か、並列な情報かなど、情報同士の関係性を気にしています。歴史の話なんかはタイムライン、「気をつけること」などは順序のない並列な情報です。
タイムラインの場合は年をプロットしたり、流れの場合は矢印で表したり、順序つきリストには番号を振ったり...並列な関係はフラットに並べたり。UI設計の考え方とちょっと似ています。
登壇者の言葉をそのまま書く
「ノート」なので、テキストを書く際にはできるだけ、感想や解釈を入れずにそのままを書くようにしています(逆にイラストには私の印象や解釈が入っています)。
セッションのあとにやること
私の場合、セッション中には黒ペンしか使っていません。そのため、セッションが終わった直後は、だいたい色が全然ついてない状態です(彩色している暇があったら内容を聴きたい)。セッションの合間にだいたい10分~15分の休み時間があるので、その間に色をつけて写真を撮ってTwitter にあげてます。
色相環上で反対になる色を使って色をつける
私はオレンジと青とか、緑っぽい青とピンクなどを使っていて、寒色をベース色に、暖色をハイライトに使うようにしています。色にもよりますが、2色以上使うと画面がうるさくて何の情報が重要だったかわかりにくくなるため、この2色にしています。追加で入れるとしても無彩色のグレーを影に使うならいいかなくらいです。
そのセッションの中で重要だったところにハイライトを引く
色をつける順番は、ざっと紙面を見渡して、
- 大きなブロックの見出し
- セッションの中で重要そうだったところ(暖色のハイライト)
- その次に重要そうな情報やイラスト(寒色の色面やライン)
- 情報ブロックの区切りが分かりにくそうなところに罫線をひく
の順番で進めることが多いです。最後に色をつけるのは、セッション中にハイライト(暖色)を引いてしまうと、後で出てきた情報のほうが重要そうだった場合に紙面全体で重要度の高いテキストが増えてしまって、一覧で見た際に重要そうなものばかりになるのを避けるためです。
わたしにとってのスケッチノート
スケッチノートを描くようになってから、ブログの下書きを積むことが少なくなりました笑。セッションの内容を思い出したり、人に説明するときにももぱっと全体を見渡せて便利です。聞いたことをテキストでアウトプットするか、図を含めた手書きノートでアウトプットするかの違いでしかないと思っているので、たまに仕事でも報告書としてそのまま共有したりしています。
テキストでも図でも、私のフィルタを通して取捨選択した情報なので、ノートを見れば意図がすべてわかるとも思っていなくて、あくまでも一次情報が大事だと思ってます。最近、自分にとってスケッチノートは一次情報を広めるための布教活動というか、レポートなんだろうなというのがしっくりきています。「こんな勉強会に行ってきてこんなに楽しかった!役立つ情報があった!」を伝えるためのツールのイメージです。
今日スケッチノートについて、これはストリーム状のものを構造化して一覧化するってことじゃないかという話になって、「ストリーム」という言葉がすごくしっくりきた
— ひろみつ (@hiromitsuuuuu) December 8, 2018
スケッチノート→推しの布教活動
— ひろみつ (@hiromitsuuuuu) November 15, 2018
ビジュアルを使ったファシリテーション→苦手の補完手段
かもしれない
あ、あと、元々構造化されている発表内容を、ストリームで聞いて、再び構造化するので「聞く力」と「情報を構造化する瞬発力」はつくと思います。情報設計の筋トレに役立つ...かも。
そういえば先月、東京から福岡の勉強会にオンライン参加したのですが、その時に書いたスケッチノートをTwitterにシェアしたときにとてもインターネット的で素敵だと思いました。リアルタイムで、場所も関係なくて、リッチな情報がオープンに共有されるのが、とてもいいなと。