5/23(土)に開催された【UX、デザイン思考、サービスデザインのためのユーザーインタビュー入門】に行ってきた。
会場が遠かったので少しでも歩く時間が少ない駅から行こうとしたら電車を失敗し、冒頭の挨拶と本の紹介がきけなかった(´・ω・`)ので、続きからのメモ。
ユーザーインタビューライブ!&ポイント解説
2回インタビューの実演がありました。どちらのインタビューもテーマは「最近気になってること」。1回目は『「気になってること」はなにですか?』から始まる基本形っぽい感じ、2回目は質問の仕方を変え『最近どんなことに熱中してるか伺いたくて…』と休日の過ごし方から切り込んでいく応用編な感じでした。
以下、ポイント解説で出たもの。
インタビュー開始時
- 自己紹介
- インタビューワーがどういう立場の人間かを伝えることにより基本レベルの信頼を得る
- 見込み時間を伝える
- 安心感につながる
- もし時間を超えそうな場合は後半に「すみません、ちょっと時間がなくなっちゃったんですけど…あと少しいいですか?」という雰囲気づくりをする
- 枕詞を入れる
- 「今日はいいお天気で遊びにいきたいなか、きてくれてありがとうございます。」などと枕を入れることで緊張をほぐすことができる
テーマの始め方
- 視野を狭めないための補足
- 「気になってること」= ポジティブなことだと捉えがち。
- 「気になってることはなんですか?」と聞かれただけだと意識がポジティブに振れてしまうので、ネガティブな側面でもいいと補足することで視野を広げる
- テーマから外れない範囲で、質問の仕方を変える
- テーマとなっている「気になっていること」というキーワードを意識させてしまうと思考が狭まってしまうので、質問の仕方を変えるのも良い方法。
- 例:「最近どんなことに熱中してるか伺いたくてお越しいただいてるんですけど…」「今日もしここにいなかったらなにしてますか?」
質問のしかた
- オープンクエスチョン
- 自身の言葉で応えてもらうことが目的なので、クローズドクエスチョンをはさみ、確認しながら進めて行く
- 例:今までどういう風に勉強してたんですか?例えば?
- クローズドクエスチョン
- 「○○ということですか?」という確認の為にも使う
- 想像してもらう
- 言語レベルの質問ではなくその場をイメージしてもらう
- 例:例えば今日ここにいなかったらなにしてますか?
- ユーザの言葉をうまく使って質問をする
- 相手のイメージをうまく利用しながら聞き出すことができる
- 会話のスピード、ペースの使い方をコントロールする
- 話題を切り替える時はペースがゆっくりめになっている
- 考える間もちょっとした言葉を挟む
- 沈黙するのではなく、「なんていえばいいのかな…」などの言葉をはさむ
- 相手の話を要約しながら先回りして質問をする
- 例:もし状況が変わればやりたいな…っていうのはありますか
インタビュー中のふるまい
- メモをとる
- インタビューイーは見られすぎると緊張してしまうので、視線を自由に動かすためにもメモを取る
- うなづき
- 普段何気なくしている動作だけど、大げさにするくらいの気持ちで臨むとちょうどいい
- お互いの緊張もほぐれる
- ユーザがたくさん話してくれるようになってきたら、うなづく声も小さくメモを取ることで集中して聞いていますよということを伝える
- おうむがえし
- その人の考え方を否定することなく、聞き手が腑に落ちるところまで引き出すため
どちらの回も会社の話になってしまい、実際にインタビューをすると、だんだん本人の話じゃなくなってくることはよくあることという解説がありました。例えば、「この文字の大きさはどうです?見えますか?」と聞くと「う〜ん、うちの親だと無理かもしれないですね」と本人の話ではなく一般論に近い言葉が返ってくる。「ご自身としてはどうなんですか?」とすんなり戻せるのが理想。否定はしちゃだめとのこと。
常葉大学のUX系の研究会の学生さんたちのグラフィックレコーディング。こうやってまとまってるとわかりやすい。最近の大学生はサークルでUXやったりするのかすごい…《゚Д゚》
ユーザーインタビューを体験してみよう!
3人組でそれぞれ、インタビューワー、インタビューイー、ジャッジマンの役になり一通りの役を体験しました。ジャッジマンはインタビューのテクニックが入っているかチェックシートで確認する人。
テクニックを抑えながらやろう!と思うとなかなか難しかった。5分の中でまとめまで持っていかなきゃいけないのに、聞くのに精一杯でまとめられなかったり。
執筆陣によるパネルディスカッション
何故この仕事しようと思ったか
- 山:世の中にはいっぱい物はあるけど、いいものが少ないなと思った。人を知ればいいものが作れるのではないかと思い心理学を勉強した。
- 伊:はじめはデザイナーだったが、ものを使う人間の方に意識が移って行った。ものを作るのに必要だからやってる。
- 奥:はじめは英語の勉強がしたかった。色んな挫折があり縁あって社長秘書として雇われた。そんな時にモデレーターをやったらできちゃった!
- 三:リサーチの仕事もものを作る仕事も同じ。ものを作る時に聞くのはあたりまえ。あとからその仕事がリサーチャーということが判明した。
リサーチャーのキャリアパス?
- 山:世代が違う。今はもうUXという言葉があり、先駆者がいる状態。我々はそういう職が無かった。
- 三:結構まっすぐきたなと思う。工学系もデザイン系も向かってる方向は一緒。
やってて良かったエピソード
- 三:ユーザの顔が見える状況になる。事実が浮かび上がってくる。みんながそれを見て話せるようになる。ペルソナを作ったら、そのペルソナの為に500人の人がアイデアを生む場を作れた。
- 奥:飽きっぽいけどこの仕事は10年続いている。それは毎回会う人が違うからだ。考え方、生き方、びっくりするようなことも聞いたり。調査の度に楽しみに仕事ができるのは幸せなこと。
- 伊:楽しかったです、また呼んでくださいと言われるインタビューができることが幸せ。ユーザのことを聞いてものをつくることが大事と思っているので、レポートを受け取る人達にそれを伝えられることがやってて良かったこと。
- 山:頭で考えて何かを作るのではなく、現実の一部をつかんで物を作るとごまかしが無い。
おもしろエピソード
- 奥:高齢者の方に話を聞くことが多い。ふだん話すことが少ないのもありずっと喋られる。電話番号を聞くまで待たれたこともあったり。次の人が来ましたから、下まで送って行きますから、と説得して部屋から出てもらった。
- 三:インタビューイーが、魂が浄化されたかのように帰って行くことがある。まさにカウンセラーのような感じ。「ともにがんばって生きて行きましょう><」となったこともあったり。90分あれば人生をともに出来る。
- 奥:デジタルカメラのユーザテスト。何もできないようなリテラシーの無い人にテストしたいということで、キッチンの電化製品とリモコン以外は触るなと言われて生活しているおかあさんをリクルート。壊れちゃったらどうしよう>A<と、電源をいれるのに40分もかかった。裏で電源を入れて、気軽に撮ってみましょうか。からはじめた。
- 友達だけどついついデプスインタビューしてしまう。。。UXデザイナーの彼氏だけは絶対作らないwという話もあった。
インタビューをするにあたって準備しておかないといけないこと
- 三:インタビューの計画が一人前にできるまですごくかかる。やり方も多様だし、小道具を使ったり、順番や場所を変えたりたくさん工夫がある。しっかりと設計するためにクライアントの意図を把握しなければならない。
- 奥:何故やるのか、調査を通じて何を解明したいと思っているのか、クライアントの意図を引き出すところがすでにインタビュー。
インタビューアーの演技力について。話が続かない場合はどう切り抜けるのか?
- 伊:自分が分からない方向に話が行ってしまった場合、馬鹿のフリをするしかない。あてずっぽうのことを言って、「いやいやそうじゃない」を引き出すか、「よくわかんないんですけど、こういうことですか?」を続けてすりあわせる。
- 伊:インタビューイーになってくれる人は結構話をしてくれる人が多い。少しの反応に対しても解釈を入れる。相手を観察して、「こういうことですか?」とより反応しやすいところを見極め、話を広げて行く。
- 奥:若い男子に対してはお母さん役になる。「おばさんわかんないからちょっとゆって!」みたいな感じ。他人に伝えることに慣れていない人の場合もあるので、まず口を動かさせるのも大事。
- 三:目線を合わせる。テンション高い人にはテンション高く。あまり応えない人にはゆっくりと。じっとみつめてみたり。
- 山:コミュニケーションはするけど嘘はつかない。「作っている」というこが伝わると、人間関係が壊れる。お客様に演技をするのは失礼ではないか?同じ言葉であっても、人によって捉え方が違う場合もあるので、「CMSってどういうものですかね」と知らないふりをすることはある。
かんそう
実際に自分でやってみると本当に全然うまくできないし、いろんなポイントがあって深い領域でした(小並感)。今回出たインタビュー本にTipsはまとめられているんだけど、結構人による能力というか、体に染みつけないとなかなかうまくはできなさげな職域っぽい。経験がものをいいそう。うまく仮説を立てるためにも、作ったものの検証をするためにも、ユーザに寄り添いユーザの話を引き出すリサーチャーはものづくりの過程の要所要所で超大事なポジションだよなぁ…