世界的に有名なデザインコンサルティング会社Frog Designのお話が聞けるということで、12/17に行われたOpen Network LabとNTTドコモ・ベンチャーズ共催の「UX/UI conference Tokyo」に行ってきました。
カンファレンスの中で印象に残ったことの自分なりメモ(まとまってなくてちょっと長いけど…)。英語のセッション(同時通訳あり)だったので、網羅できていなかったり間違っている部分もあるかもしれません。他の方もレポートを書いてたのでリンクはっておきます。
- UX/UI conference tokyo / frog design | Tokyo Graphic Recorder
- 安藤日記:frog design - UX/UI Conference Tokyo
- Frog Designのデザイン。「UX/UI Conference Tokyo」に行ってきたよ! - デザインの視点
Frog Designのデザイン
デザインの歴史
- 1960年代は、機能に形が追従し、形を見れば何をするものかすぐ分かる時代であった。
- 1969年「Form Follows Emotion」という言葉の誕生。フォームは感情に追従すべきだ。物は思い入れのあるものに変わって行った。
- プロダクトには技術的な能力に加えて、強力な個性を付加することが必要。
- 目に見えない所に何があるかが重要。それは、ネットワークやジェスチャー、センサーの技術だったりする。
- デザインは物理的なものから、文脈を持ったデザインへと方向性が変わってきた。
デザインのプロセス
- デザイン学校で学ぶような直線的なやり方が役に立たなくなってきた。「DISCOVER → DESIGN →DELIVER」の間でコミュニケーションが失敗する。そのため、最初から最後まで同じメンバーが関わったり、チームをオーバーラップさせるなどして綿密なコミュニケーションを図っている。
プロトタイプベースの物作り
- 6週間6人で動くプロトタイプの開発と改善を行った。HTMLでプロトタイプを作り、継続的な改善を行っていった。
- 成果物を想定したプロトタイプベースの物作りは、これまで木工や工芸では元々行われてきていたことである。早くからインタラクションを持つ事が重要。
- 概念的な話ではなく、動くものを提供し、手にしてもらうことで説得することができる。技術を早くから導入すれば、技術的に妥当であるということが証明できる。
センサーはデータを測定するだけのものではない
- データで何ができるのかを知り、フィードバックすることが大事。
- 1セントでセンサーが手に入る事で、巨大な情報空間が生まれる。小さいけれど、数多くの共通の問題をセンサーで解決することができる
- 皮膚からストレスを計る事が出来るセンサーをアプリの検証に使っている。ユーザーヒアリングなど、対話ベースのリサーチが多いが、ヒアリングではユーザが思っている事をそのまま言わない場合があるため。センサー技術をデザインの一部として活用する。
プロジェクトのアプローチ方法
- 成長戦略(Growth Strategy)ビジネス価値を特定する
- 体験戦略(Experience Strategy)ユーザーの全体の体験を考える
- 製品&サービスデザイン(Product & Service Design)デザイン技術
- 生産(Product Realization)エンジニアリングレベルに落とし、実際のコードにしていく
デザインプロセスの方法論
- ユーザを理解するために時間をかけてヒアリング、もしくはセンシング技術を活用してデータを取る。
- 継続的な改善を行う。
- 幸いにも、FrogDesignはそれができる広範囲な人材を抱えている。
インタラクションデザイナーの役割
- 本来のコンテンツを把握し、操作を明確にする
- ドキュメンテーション、ワイヤー、プロトタイプ、検証、イラレからHTMLまで。現場と一緒に動く。
- 昔はアプリのデザインはエンジニアがやっていたが、デザイナーの役割が大きくなり、今ではデザイナーがソフトに関わる。
パネルディスカッション
極端なペルソナに注目する
- 一般化されたユーザーではなく、極端なペルソナ(エクストリームユーザー)に注目する。最大と最小を観ることで、全体を観る事が出来る。
- ユーザーインタビューではユーザーからの答えを求めているのではない。話の中から気づきを得ることができる。
ハードのデザインもソフトのデザインも同時に考える
- 端末は移り変わるため、ハードとソフトの統合が必要。
- デザイナーに必要なスキルがどんどん増えてゆくため、クロスで色々教育する(プロダクトとか、調査とか)
理想的なチームサイズは6人
- プロジェクトマネージャー、ディレクター、技術者、ストラテジスト、 ヴィジュアルデザイナー
- 上海のオフィスには15の国籍の人が在籍していて、1/3ずつの文化の違う人種が一緒に仕事をしており、デザインの観点からしてもいいものができる
最もイノベーティブな仕事
UXはマインドセット。FrogDesignではすべての人がUXデザイナーである
- 切り口は違えど、ユーザー体験は極めて重要なのでみんながUXデザインをやっている。
- ユーモアのセンス。自分の事を笑い飛ばせること。
- 強い意見を持ち、強く発信すること。
- 常に疑問を投げかけ、箱に留まらないこと。
- UXデザイナーは、好奇心が強いのが共通項で、どうしてこうなのかを強く思うことができる。
- ディテールにこだわる。専門知識とともに、広い知識を持ち合わせている。
- 意味ある会話ができること。違う意見を持つ事を恐れない事。
日本のトイレのユーザー体験が素晴らしい!
- 他国に日本のトイレ文化が広がらないのは、シャワートイレが好き=ゲイじゃないか!?と男性としてのアイデンティティが問われるから。
これからのUI/UXデザイナーに求められること
- 明るい人
- トラブルとかアクシデントを楽しめる人(そういうことをチャンスと思ってやれる人)
- 柔軟な人
- 解決しようとしているのは大きな問題だというのを忘れない人
- 必要なスキルセットはどんどん変わって行くが、内在的なモチベーションがお金やパワーではなく名誉なひと!
- 人間に興味を持つ事。色んな人を知るには、色んな人に興味を持つことが必要。色んな人を知っていれば、ターゲットを考える際に自分の引き出しの中から引き出せる。
かんそう
表層ではなくデザインとは問題解決のことであるという本質を改めて認識させられたイベントだった。ユーザーを知ることと、早い段階で形にして継続的に改善していくことの大切さはフロントエンドエンジニア(アーキテクト?)をしていても最近よく耳にする話題。立ち位置は違えど、同じ方向に向いて行ってるような気がした。それが実際に現場でできているかどうかは別として…><
あとは、センサーの話とUXはマインドセットという話が印象的だった。センサーが安価になり、物のインターネットの時代になれば、これまで問題と思っていたことがたくさん解決できると思う。また、同じゴールに向かってチームでプロダクトを作っていくには、どんなユーザーのどんな問題をどう解決するのかチーム全員が意識すべきであるし、デザイナーだけに必要な考えじゃない。率先してその考えをチームに共有し、うまく根付かせるためにUXデザイナーがいるんじゃないかなぁ。