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フロントエンドエンジニアが人間中心設計(HCD)専門家認定制度を受けてみた話

今年もHCD専門家の季節がやってきたみたいです。去年HCD専門家の認定を受けることができたのだけども、すごく苦しんだのでどんな様子だったのか、体験談として残しておこうと思います。

なぜ受けてみたのか

産技大に通っていた2015年の年の瀬に、何人かの同期が受験してたので知ったのが始まりだったかと思います。それまでは正直この認定資格のこともよく知らなかった。産技大の講義を受けながら挑戦するのはキャパ的に無理だったのと、実務経験が足りなかったため2017年に見送りました。2016年は実践に充て、2017年に受験。以下、今年の6月に証明書がきたときのfbの投稿。

人間中心設計専門家、認定されました!( • ̀ω•́ )✧ 2014年頃までは、HTML5界隈をうろつきフロントエンドの技術をひたすら追いかけてたような気がしますが、やっぱり人のために価値あるものを届けたい一心で2015年は産技大に通い、今年チャレンジしてみて受かりましたー! これまでやってきた仕事を棚卸しする良いきっかけだったし、ここまでは理解できてる(&その気になれば大量の文章を書ける笑)っていう自信になりました。

実務で自信がなかったから、本当にやれてんのか後ろ楯が欲しかったというのが正直なところ。

認定のために何を書かなくちゃいけないのか

これが、んもうひたすら書類が多い。メインどころは、これまで関わってきたHCD関連案件のプロジェクト概要を記述する「プロジェクト記述書」とそのプロジェクトでどんな取り組みをしたかを記述する「コンピタンス記述書」なのだけど、この「コンピタンス記述書」が鬼。HCDサイクルに沿って、各フェーズごとに背景から課題、選択した方法論、選択の理由、結果、成果をひたすら細かく、そのプロジェクトを知らない人にも分かるように書かなくちゃいけない。。。ほんとに鬼書類。

どうやって進めたか

コンピタンス記述書を網羅するだけのプロジェクトがあるか確認するため、業務の棚卸からはじめました。

  1. これまでの業務を全て時系列順に洗い出す(自分の職務経歴っぽい感じ)
  2. 1のなかから、HCD、ユーザビリティに関連していそうなプロジェクトを選んでいく
  3. 2のなかでも、自分が深く関わっていて + プロジェクトでやったことについての課題や意図を語れそうなものを選ぶ
  4. 3をコンピタンスマップに当てはめれそうか星取表で確認しながらプロジェクトを3つに絞る

4までやると、ここのプロジェクトを中心にちゃんと書ければ安心だな、とか、コンピタンスは足りてそうだなというのが俯瞰してわかるのでよかった。足りないコンピタンスを埋めるためのプロジェクトを選ぶとか、戦略を立てると無駄に記載量を増やさなくて安心。

何がよかったか

認定を受けたいまでは、資格は資格でしかないし、実務で成果を上げるのが一番だとも思う。ただ、自分の業務の棚卸しができたことと、業務の中でやってきたことを下記の視点で論理的に体系立てて説明することができるということがわかったのが自分としては収穫だった。

  • どんな課題があって、何が必要だったか
  • 課題の解決のためにどんな理由で方法論を選んだか
  • その方法論をどう使って、結果を出したか
  • 自分はその中でどう関わったか
  • その結果、どういう成果に繋がったか

あれ、これどっかで見たことあるぞ…ん?会社の目標設定と評価面談か?

時間とやる気の戦いがつらたん

噂には聞いていたものの、一番辛かったのが文章の記載量の多さ。受験者向けの説明資料にも『週末1回頑張れば何とかなる…』は『無理ですからぁ、お勧めしません』『2ヶ月弱を有効に使ってね』と書かれてましたが、私も例に漏れずなめてました…。

12/26:受験申し込み

「とりあえず申し込んどこ♫」くらいの気持ちで申し込み、受験者向け説明資料をさーっと眺めるくらいでそのまま長期の冬休み突入。ここで少しでも進めればいいものの、年末年始でやる気がゼロになりそのまま休み明けに笑

1/16 :受験料支払い期限

やばい書けてない、もうだめかも、ここで諦めるか、いや、最後まで諦めないか…のせめぎ合い。結局は受験料捨ててもいいや、振り込んじゃえ!っって振り込んだ!

1/25:書類提出期限

じっくり整理して毎日ちょっとずつ書けばもうちょっといけた…!という感想もあとの祭り…書類への絶望感がTwitterに溢れ出る毎日。土日返上でつめてつめて、やっとこさ1プロジェクト分の枠は埋めた状態まで書いたものの、あと2プロジェクトが埋まらない…ああもうダメもとで埋めて出しちゃえ!出すことが大事や!と、えいやで印刷して郵便局へ提出しました。

本当に目指したいならログを取れ

この前飲みの場で、プロのリサーチャーである奥泉さんから「本当に目指すならログを取れ。どんなプロジェクトで、どんなことをやったか。どんな成功と失敗があったか。本当に目指すのなら、ログを積み上げていったほうがよい。私もここまで10年かかったから。」「他の人がやっているのを見て、すごい!と思えるのは、何がすごいかを分かる目は持てているということ。そのなかで、自分ができること、できないことを分けて、できないことをできるようにすればもっと伸びる。」的なことを聞いた。

HCD専門家は、ログを整理する機会のうちのひとつだったかなーと思う。そのプロジェクトがどんな状況で、どんな課題があって、そこに自分はどう取り組んだか。何が失敗で、何が成功だったか。どんな小さなことでも腐らず行動を積み重ね、学べるものが前に進めるんだとおもた。 あと、書類を書いてみると、自分が「どの辺が書けないか」がわかってくる。その年に提出できるだけの枠が埋められなかったら、次の年にそこを埋めるだけの業務をして、次の年にチャレンジするのもよいなと思った。ないものがわかることも、あることに近づくために必要な能力なんだな。